同じことで繰り返し悩んでしまう人、ちょっとしたことで悩んでしまう癖のある人、悩まないようにするにはどうしたらいいのか探していませんか?実は、脳の構造上、ロジカルシンキングをすることで悩みは軽減されることが分かっています。
この記事の内容
- 辛い気持ちは扁桃体と呼ばれる脳部位が生みだしている
- 論理的に考えると脳の構造上、扁桃体の働きが弱くなる
悩みたくないのに悩んでしまう...
悩みたくて悩んでいるのなら、解決策はいたって簡単で、「悩むことやめる」だけですむでしょう。だけど、誰しも悩みたくないのに、どうしても悩んでしまう、だから、辛い思いをしてしまいます。では、悩まないようにするためには、一体どうしたらいいのでしょうか。
それは、「ロジカルシンキングが効果的」というお話をする前に、脳のメカニズムを知っていただくことが一番の近道かもしれません。
その理由は、悩んでいるのは「心」でも、「メンタル」、「精神」でもなく、「脳」だから。
たとえば...
発熱、せき、頭痛、倦怠感の症状があるとき、インフルエンザに感染していることを知らずに、近所の薬局で薬を取りそろえたとしましょう。
・発熱には解熱剤
・せきには咳止め
・頭痛には頭痛薬
・倦怠感には栄養剤
これらの薬で果たして改善されるでしょうか。おそらく全く効き目がない、または、表面上は良くなったとしても、そのうち症状が再発してしまいそうですね。原因さえ分かれば、お医者さんにインフルエンザ用のお薬を処方してもらって、割と早くよくなることができるのに。
悩んでしまうことも同じで、問題、原因はどこにあるのかをしっかり把握すれば、おのずと解は見つかるものです。つまり、脳のメカニズムを知ることが、悩まないようにするためには一番の近道だということです。
悩まないようにするには、まず脳のメカニズムを知ろう!
さて、悩まないようにするには、まず、脳のメカニズムを知ることが一番の近道だということは、分かっていただけたと思います。さっそく、どこで感情が生まれ、どこが感情をコントロールしているのかを解明していきましょう。
脳のメカニズムを知る①:感情を生みだしている脳部位
まず、最初に知っていただきたいのは、感情はどこで生まれているのかということ。「好き、嫌い、快・不快、喜怒哀楽」など、あらゆる感情を生みだしているのは、私たちの脳内にある扁桃体と呼ばれる脳部位です。つまり、嫌なことを考えて悩んでしまっているとき、私たちの脳内では、扁桃体が活性化してしまっています。
脳のメカニズムを知る②:感情をコントロールする領域
次に、知っていただきたいことは、前頭連合野が感情をコントロールしているということ。前頭連合野のはたらきは感情コントロールの他にも、新しいものを生みだす創造性、方向性などの決断、論理的な思考、危険などへの注意、ものごとの計画性などを司っていて、簡単に言うと考える力を宿しています。
脳のメカニズムを知る③:脳の領域には優位・従位がある
脳のメカニズムでとても重要なことは、「大脳辺縁系(扁桃体が含まれている領域)」と「前頭連合野」には優位・従位の関係が成り立っているということ。分かりやすく言うと、リーダーとそれをサポートする部下の関係にあるということです。
どちらがリーダーなのかというと...それは決まっていません。
どちらもリーダーになりうるし、どちらも部下になりうるということ。重要なことは、一緒にリーダーになることはないということです。感情的な思考をしているときは大脳辺縁系が優位、理性的な思考をしているときは前頭連合野が優位。
だから、悩みを取り除くためには「前頭連合野を優位にしてあげればいい」というお話です。
悩まないようにするにはロジカルシンキングが効果的
小難しい脳のメカニズムを分かっていただけたところで、ようやく本題に入ると、悩まないようにするにはロジカルシンキングが効果的なんです。
その理由は、ロジカルシンキングをすると前頭連合野が活性化するから。前の章でお話しした通り、前頭連合野は論理的な思考力を司っています。そして、ロジカルシンキングをして前頭連合野が活性化して優位になると、結果的に扁桃体が鈍化してイヤな気持ちを鎮めてくれるというわけです。
たとえば...
職場の同僚のイタズラで机の引き出しに、手のひらサイズのクモが入った瓶を入れられていたとしましょう。瓶に入ったクモを見た瞬間、大抵の人は恐怖のあまり「ギャー」と叫んでしまいます。
これは、「毒グモに刺されると死ぬ」という情報が人の脳には刻まれていて、どうしても、とっさに恐怖を感じてしまいます。このとき、扁桃体がいっきに活性化してしまっている状態です。
だけど、そのあと「瓶に入っているから刺されることはない」「アシダカグモだから毒性は弱く危険度は低い」と、論理的に考えて前頭連合野が活性化することで扁桃体が鈍化して恐怖が和らいでいきます。
このことから言えるのは、悩んでしまって辛いということは扁桃体が活性化してしまっていますから、ロジカルシンキングで前頭連合野を活性化させてあげると、辛い気持ちから救われることができますよということです。
前頭連合野が疲れている場合は、こちらの記事をご参考に↓
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悩まないようにするロジカルシンキングのやり方
それでは、悩まないようにするためのロジカルシンキングのやり方をご紹介していきます。ロジカルシンキングとは、論理的な思考のことで、物事を体系的に整理し、矛盾や抜けもれのない筋道を立てる思考。とはいっても、ビジネスの世界でうたわれているロジカルシンキングのように堅苦しく考える必要はありませんから安心してください。
一つだけポイントをあげるとするなら「感覚的な思考をやめる」ことです。「誰か助けてくれないかな」、「あいつさえいなければ...」「次はボコボコにしてやる」のように感覚的に考えることはかえって扁桃体の働きを強めてしまいます。
ロジカルシンキングの例①:上司からのパワハラが辛い
上司からのパワハラが酷くて辛いとき、論理的に考えると...
「上司からのパワハラに屈する必要はない。なぜなら、パワハラは犯罪行為に該当することがあり、また、部下の生産性を低下させる行為である。それに、社会的にも許される行為ではないからだ。だから、上司のパワハラに臆することはやめよう。念のため証拠でも集めておくか。」
ロジカルシンキングの例②:仕事が大変すぎて苦しい
仕事が大変すぎて苦しいとき、論理的に考えると...
「仕事の大変さを理由に苦しむ必要はない。なぜなら、職は他にも無数に存在するし、また、仕事を辞めたとしても死ぬわけではない。それに、仕事が人生のすべてではないからだ。だから、いつでも辞めれるということを念頭において、気楽に仕事をすることにしてみよう。」
ロジカルシンキングの例③:将来の不安を感じて辛い
将来の不安にさいなまれて辛いとき、論理的に考えると...
「将来に不安を感じる必要はない。なぜなら、将来とは「今」の積み重ねでしかないから、その時その時、全力を尽くせば最高の将来が待っている。また、心配事の95%は起こらないという研究報告もあるからだ。だから、将来の心配をするくらいなら「今」を真剣に生きることにしよう。」
3つ例をあげましたけれど、これが正解というわけではなく、感覚的な思考をやめて、自分なりの論理的な思考してみてください。そうすれば、あなたの脳内では前頭連合野が活性化されて優位になりますから、悩まないようにするには効果的な方法ですよ。
悩まないようにするための護身術として
今回、お伝えしたことをまとめると、辛い気持ちは扁桃体と呼ばれる脳部位が生みだしているから、悩まないようにするにはロジカルに考えることで前頭連合野を活性化させてやれば、扁桃体の働きが弱まり辛い気持ちが和らいでいくということでした。
そして、ロジカルシンキングとはいっても、ビジネスの世界でうたわれているロジカルシンキングのように堅苦しく考える必要はなく、「感覚的な思考をやめる」ことを意識すればいいですよということをお伝えしました。
ただ、常にロジカルに考えていると疲れてしまいます。それに、論理的な考えや発言しかしなかったら、人間味が薄れてしまって「人と心を通わせる」ということができなくなったり...
だから、悩まないようにするためのロジカルシンキングは、辛くなった時の護身術として使ってみてはいかがでしょうか。これから先の人生でも、きっとあなたを助けてくれますよ。